たまには染み抜き：インクのお話

こんにちわ、太陽舎＠中の人です

なんか最近天気がいまいちですねぇ・・
気温が高くないのは助かるんですが
湿度が高い上に洗濯物が乾かないので困っております(´･ω･`)

そんな中仕事の資料を整理していた所で出てきた写真があったので
今回はそれをお見せしつつ久々に染み抜きのお話です(ﾟДﾟ)

当店にご相談頂く染み抜きで多いのは
「ワイン・インク・移染（色移り）・着用による黄ばみ・食べこぼしの黄ばみ」の５つです
そしてこの中で一番大変なのは？というと
実はインクなんです・・

一口にインクと言っても状況は様々でして
例えばポケットに入れる時にボールペンの先が
生地に触れてしまいインクが付いた物などは
生地の表面にインクが乗っており、あまり生地には染み入っていない
状態ですので比較的除去しやすいシミです

ですが、例えばポケットにペンを入れたまま洗濯してしまった
等のインクがきっちり生地に染み込んだケースは
非常に手間と薬剤を使うシミになります

というのも生地に染み込んだインクを全て除去する必要があり
言ってしまえばペン１本分のインクを染み込ませた生地から
そのインクを全て濯ぎ出す、という作業が必要になります

しかも濯ぎ出す時に手間取るとインクが周りに広がるので
できるだけ広がらないように手早く濯ぎ処理をしていきます

そして僕が染み抜きした中でインクのシミで
１番大変だったのがこの事例です

背広の上着の内ポケットに入っていた蛍光ペンのインクが染み出し
前身側の表地まで染み出していました
あと、畳んで置いてあったのか背中側の裏地を通り越し
背中側の表生地までインクが染み出していました

また、前身側に染み出したインク部分はお客様が水を付けて
拭きとったとの事で生地にスレが出ていました

ちなみに、水性インクと言いますが水つけても落ちません
というか水付けると生地の中までインクがより入り込み
除去するのが大変になるので絶対に使わないでください(´･ω･`)

で、実際に作業してみるとちょっとインク除去の薬剤付けただけでも
周りにすごい勢いで滲むのでこれはまずい、と必死で作業しました

そして表にこれだけインクが滲んでいる、という事は
その内側にある芯地やポケット部分はそれ以上にインクが染みている訳で・・
心が折れそうになりながらインクが出なくなるまで濯ぎました(´･ω･`)

一番大変だったポケット部分を処理してからは
比較的インクが滲むのも減った為余裕もって処理できましたが
とにかく大変な作業でした

そしてまだ染み抜きを本格的に始めて間もない頃にご依頼頂いたのですが
予想以上に時間かかるわ見積もり甘くて薬品代だけでも赤字になるわで
反省しきりの染み抜き事例だったりします(´･ω･`)

ちなみに今このレベルのインク除去をすると・・
素材にもよりますが裏側まで含めると15,000円以上になると思います

インクの染み抜きはお見積りを出すと「結構高いね」と
いうお言葉を頂く事があるのですが
これだけ手間と薬剤を使って処理してますので
ご勘弁くださいませm(_ _)m

そして今週後半は所用により染み抜きが行えませんので
それまでに出来る限りご依頼をこなせるように
頑張ってきますっ(`･ω･´)ﾉ